2023.7.29
8月は SWEET SUMMER SOUL
フィラデルフィア・サウンドの3人娘
33rpm SEASON III(2023年8月5日OA)No.180
スリー・ディグリーズ『荒野のならず者』
アナログ音源専門プログラム「33rpm」。
8月はファンキーでメロウな、昭和の香りがするソウル・ミュージックをお届けします。「SWEET SUMMER SOUL」その初回は、フィラデルフィア・サウンドのスリー・ディグリーズが1973年にリリースしたアルバム『スリー・ディグリーズ/荒野のならず者』です。
ソウル・ミュージックを洗練されたポップスへと昇華させた、フィラデルフィア・サウンド。その仕掛人と言われるのが“マイティー・スリー”と言われる3人の人物。フィラデルフィアのケニー・ギャンブルと、その友人のレオン・ハフ。そしてジャマイカ出身でフィラデルフィア育ちの名プロデューサー、トム・ベル。3人は10代の頃から付き合いがあり、フィラデルフィアから数多くのヒット曲を生み出していました。
スリー・ディグリーズのオリジナル・メンバー、1948年1月10日生まれのフェイエット・ピンクニーは教会の聖歌隊で歌っていました。その歌声に魅せられた作曲家リチャード・バレットが、ガールズ・グループを結成しようと彼女の友達に声をかけ、1964年にスリー・ディグリーズが誕生しました。地元のスワン・レコードからデビューしたものの、わずか2年で解散。
しかしバレットは、高校の先生から歌唱力のある少女シェイラ・ファーガソンを紹介され、さらにボストンの聖歌隊にいたヴァレリー・ホリディーをスカウト。同年代のフェイエット、シェイラ、ヴァレリーの3人で69年にメトロメディア・レコードと契約。その後移籍したルーレット・レコードから70年にリリースした「メイビー」が全米でヒット、いよいよスリー・ディグリーズの時代がやって来ます。
映画『フレンチ・コネクション』にゲスト出演するという幸運も手伝って、注目を浴びるようになった彼女らに目を付けたのがモータウン・レコード。しかし、これを蹴ってギャンブル&ハフのソングライト・チームが興したレーベル、フィラデルフィア・インターナショナルと73年に契約しました。
移籍後すぐに「TSOP/ソウル・トレインのテーマ」をレコーディング。この年「荒野のならず者」が大ヒットして、アルバム『スリー・ディグリーズ/荒野のならず者』からシングル「天使のささやき」が世界中で大ヒット、ヨーロッパ・ツアーも大成功を収めます。「天使のささやき」は74年の『第3回東京音楽祭』で金賞に輝き、日本語版もリリースされました。2ndアルバム『世界の恋人』は日本版も作られ、筒美京平・安井かずみによる「にがい涙」や細野晴臣・松本隆作、ティンパン・アレイが演奏した「ミッドナイト・トレイン」も収められました。
76年にはエピックへ移籍、このタイミングでフェイエット・ピンクニーがソロ活動のため脱退。代わりに初期メンバーだったヘレン・スコットが復帰しますが、陽は少し傾きかけていました。その後もメンバーチェンジを繰り返しながらもスリー・ディグリーズは活動を続け、ヴァレリーとヘレンを中心としたメンバーで今年2月にも来日公演が行われました。今年は9月から60周年アニバーサリー・ツアーで、ヨーロッパ30か所以上をまわる予定です。
スリー・ディグリーズのアルバム『スリー・ディグリーズ/荒野のならず者』
SIDE A
「荒野のならず者」
「冷たい仕打ち」
「素敵な彼がほしいの」
「天使のささやき」
SIDE B
「知らなかったの」
「女の喜び」
「悲しみの闇に包まれて」
「幸わせの季節」
スリー・ディグリーズのアルバム『スリー・ディグリーズ/荒野のならず者』いかがでしょうか?ちなみに、イギリスでいち早く火が付き、ヨーロッパ・ツアーも大成功を収めた彼女たち。実は当時皇太子だったチャールズ国王が大ファンで、ダイアナ妃との披露宴に招待された数少ないアメリカ人だったのだそうです。
★スリー・ディグリーズ OFFICIAL
33rpm『スリー・ディグリーズ/荒野のならず者』スリー・ディグリーズ
●ON AIR:2023年8月5日(土)21:00~21:55