2025.1.26
SUNDAY MORNING WAVE
宮崎県日向灘沖での地震と津波
2025年1月26日ON AIR「地震に自信を」
1月13日夜、日向灘を震源とする地震が起き、宮崎県で震度5弱の揺れを観測したほか、宮崎県と高知県に最大で20センチの津波が到達しました。この地震で、気象庁は南海トラフ地震との関連を調べるため評価検討会を開きましたが、巨大地震の可能性が平常時と比べて相対的に高まったとは考えられないとして調査を終了しました。長周期地震動の「階級2」(4つの階級のうち上から3番目の揺れ)が宮崎県宮崎市と小林市と熊本県人吉市で観測されました。
気象庁は当初、津波の心配はないとしていましたが、地震発生の10分後に一転して高知県と宮崎県に津波注意報を発表しました。実際に宮崎県で最大20センチ、高知県で同10センチの津波が観測されました。気象庁は「再評価によって事後的に津波注意報などを出すことはある。油断せず継続的に最新の情報を確認してほしい」と呼びかけています。ただ、津波注意報の有無は住民の避難行動に大きな影響を与え、発表が遅れれば逃げ遅れる危険性は高まります。今回、津波が宮崎港(宮崎市)に到達したのは注意報のわずか7分後でありました。なお、津波注意報は13日午後11時50分にすべて解除されました。
今回、地震の波形の振れ幅から地震の規模を計算したところ、当初マグニチュード6.9と推定され、南海トラフ地震との関連について調査する条件の6.8を上回ったことから、専門家からなる評価検討会を開きました。評価検討会が開かれたのは去年8月の日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震以来、2回目です。専門家らが国内外のデータをもとに検討した結果、震源は南海トラフ地震の想定震源域の西の端にある陸側と海側のプレートの境界で起きた一方、地震の波形全体から求めたマグニチュードは6.7と、巨大地震への注意を呼びかける7.0に達していませんでした。このため気象庁は、巨大地震が起きる可能性が平常時と比べて相対的に高まったとは考えられず、特段の防災対応を取る必要はないとして、地震からおよそ2時間半後に調査を終了しました。その後、地震の波形の振れ幅から計算したマグニチュードは6.9から6.6に更新され、震源の深さは36キロと変更になりました。
text by 今村文彦
SUNDAY MORNING WAVE
●日時:毎週日曜日8:25~8:55●出演:今村文彦、板橋恵子