2023.9.16
シティポップの夜明け前
70’sジャパニーズPOPの名作から
33rpm SEASON III(2023年9月23日OA)No.187
チューリップ『TAKE OFF(離陸)』
アナログ音源専門プログラム「33rpm」。
9月はシティポップの夜明け前、70年代ジャパニーズ・ポップスをフィーチャ―しています。ビフォー・シティーポップ「BC 70`s」今回は、福岡出身のバンド、チューリップが1974年にリリースしたアルバム『TAKE OFF(離陸)』です。
1960年代から70年代にかけて多くのバンドを生み出してきた福岡「めんたいロック」シーン。そんな中でも、かなりポップ寄りのバンドがチューリップでした。前身のバンド、ザ・フォーシンガーズを母体に、1948年2月19日生まれの財津和夫、3月21日生まれの吉田彰、50年3月14日生まれの安部俊幸、10月2日生まれの上田雅利、そして52年2月1日生まれの姫野達也によって結成されました。1972年、憧れのビートルズと同じ東芝EMIより「魔法の黄色い靴」でデビュー。
73年3枚目のシングル「心の旅」がオリコン・チャート1位を獲得してブレイク、その後「青春の影」、「サボテンの花」、とヒットを連発。フォークでも歌謡曲でもないポップ・ロック路線で一世を風靡しました。78年、初の野外ワンマン・ライヴを開催。82年にはコンサート1000回を記念して、よみうりランドを貸し切った「TULIP LAND」や、芦ノ湖畔でのイベント・ライヴなど、現在のフェス・シーンの先駆けとなるような活動をしてきました。
84年にはファンハウスへ移籍しますが、すでにバンドを去った上田、吉田に続いて安部、姫野が脱退。セールスも低迷して89年にバンドは解散、財津和夫はすでに始めていたソロ活動に専念します。しかし、95年にビートルズが「フリー・アズ・ア・バード」をリリースしたことに触発され再結成。デビュー25周年にあたる1997年、ほぼオリジナル・メンバーで全国ツアーを成功させました。その後、2000年・2002年・2005年にも全国ツアーを行い、2007年には18年ぶりのオリジナル・アルバム『run』を発表、アルバムを携えてのツアーを行い35年に及ぶバンド活動に再び終止符を打ちました。
2012年にデビュー40周年を記念したコンサート・ツアーを行った2年後、ジョージ・ハリスンに影響を受け、インドに居住していた安部が他界。安部俊幸への追悼の意を込め、2016年にはサポート・メンバーを立て45周年のツアーを行いますが、今度は財津の大腸がんが判明して一時中断。2018年に仕切り直して、19年7月7日、安部の命日に地元福岡でファイナルを迎えました。
さらに22年には財津和夫、姫野達也、上田正俊、そして第2期メンバー宮城伸一郎のラインナップで、デビュー50周年のメモリアル・ツアーを開催、7月の福岡公演で一旦ファイナルを迎えました。その後ファンの熱望によりアンコール公演が今年10月から再び始まり、2024年5月の福岡まで“心の旅”は続きます。
チューリップのアルバム『TAKE OFF(離陸)』
SIDE A
「TAKE OFF」
「明日の風」
「そんな時」
「見すごしていた愛」
「サンセット通り」
「おしえておくれ」
「セプテンバー」
SIDE B
「あの、ゆるやかな日々」
「ハートせつなく」
「青春の影」
「愛は不思議なもの」
「悲しみはいつも」
「ぼくは陽気なのんきもの」
「笑顔をみせて」
チューリップのアルバム『TAKE OFF(離陸)』いかがでしょうか?
ちなみに、チューリップは「魔法の黄色い靴」の前に、アマチュア時代のメンバーで「私の小さな人生」というシングルをリリースしており、幻のデビュー曲と言われています。
★財津和夫オフィシャル・サイト
33rpm『TAKE OFF(離陸)』チューリップ
●ON AIR:2023年9月23日(土)21:00~21:55