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S.レイヴォーンはテキサス・ハリケーン

33rpm　SEASON II（2023年2月18日OA）No.156
スティーヴィー・レイ・ヴォーン＆ダブル・トラブル『テキサス・ハリケーン』

アナログ音源専門プログラム「33rpm」。
18日にお送りするのは、1984年にリリースされたスティーヴィー・レイ・ヴォーン＆ダブル・トラブルのアルバム『テキサス・ハリケーン』です。

80年代にブルースを蘇らせ、嵐のように去ってしまった、まさに“テキサス・ハリケーン”。本名スティーヴン・レイ・ヴォーンは、1954年10月3日テキサス州ダラスに生まれました。3歳年上の兄ジミーの影響で音楽に興味を持ち、7才からギターを手にすると、アルバート・キング、バディ・ガイといったブルース・マンに加え、ジミ・ヘンドリクスやジェフ・ベック、ウェス・モンゴメリーなどから影響を受けました。12歳で初めてバンドを組んで、やがてプロとしてクラブに出演するようになります。1970年16歳にして初のリーダー・バンド“ブラックバード”を結成。プロを目指して翌年高校を中退、州都オースティンへ移ります。

その後いくつかのバンドを渡り歩き、1977年トリプル・スレット・レビューを結成。このバンドが母体となってダブル・トラブルに発展。メンバーチェンジを経て、最終的にベースのトミー・シャノン、ドラムのクリス・“ホイッパー”・トレインの3人で“ダブル・トラブル”が完成。名前はオーティス・ラッシュの曲名から命名しました。地元クラブ・シーンで活動を始め、80年ごろにはテキサスの人気バンドとなります。

1982年、デビュー前にしてモントルー・ジャズフェスティバルで演奏する機会に恵まれ、事態は急転。彼らのパフォーマンスを見たデヴィッド・ボウイは、新作『レッツ・ダンス』への参加をオファー。ジャクソン・ブラウンは、ロスアンジェルスにある自分のスタジオを無償で提供する約束をします。さっそくレコーディングに入ると、名プロデューサーのジョン・ハモンドが契約をとりつけ、83年にデビュー・アルバム『テキサス・フラッド～ブルースの洪水』がリリースされます。

圧倒的なブルース・ギターとデヴィッド・ボウイの『レッツ・ダンス』のヒットで、スティーヴィー・レイ・ヴォーンは“時の人”となります。そのボウイはワールド・ツアーへの参加も希望して、リハーサルまで行われますが、自身のバンドを優先したいと直前に脱退。ダブル・トラブルはアメリカ、ヨーロッパ・ツアーを行い、再びモントルーのステージに立ちました。

すぐさま次のアルバムに取りくみ、ニューヨークでのレコーディングを終えるとレコード会社のコンベンション・ライヴでジェフ・ベックとも共演。84年春には2ndアルバム『テキサス・ハリケーン』がリリースされます。チャート・アクションも前作を上回り、全米31位まで上昇してゴールド・アルバムとなりました。85年には、テキサス・ハリケーンが日本初上陸、しかしこれが最初で最後の来日となってしまいました。またこの年、キーボードのリーズ・ワイナンスが加入して『ソウル・トゥ・ソウル』をリリース。しかし激しいライヴによる疲労などから、スティーヴィーはドラッグに頼るようになってしまいます。

86年父ジムが亡くなると、ますますエスカレートして、ドラッグとアルコールの依存症により入院。その後何とか克服すると、89年のアルバム『イン・ステップ』で復活、グラミー賞に輝きました。シーンに戻った後は、ジェフ・ベックとのツアーや、兄ジミーとのプロジェクトなど精力的に活動を続けますが、1990年8月27日運命の日がやってきてしまいます。ウィスコンシン州で開催されたブルース・フェスティバルでエリック・クラプトンらと共演した後、移動のため乗ったヘリコプターが濃霧のため山に激突、35年の生涯を終えることになりました。ドラッグから立ち直った直後の、あまりに惨いトラブルとしか言いようがありません。

スティーヴィー・レイ・ヴォーン＆ダブル・トラブルのアルバム『テキサス・ハリケーン』
SIDE A
「スカットル・バッティン」
「テキサス・ハリケーン」
「ザ・シングス・アイ・ユース・トゥ・ドゥ―」
「ヴードゥー・チャイル」

SIDE B
「コールド・ショット」
「ティン・パン・アレイ」
「ハニー・ビー」
「スタングズ・スワング」

スティーヴィー・レイ・ヴォーン＆ダブル・トラブルのアルバム『テキサス・ハリケーン』いかがでしょうか？ちなみに、スティーヴィーが愛用していたメイン・ギターの「#1（ナンバー・ワン）」。何とクリストファー・クロスが下取りに出したものをオースティンの楽器屋で見つけ、自身のギターと物々交換で手に入れたのだそうです。
スティーヴィ―・レイヴォーン OFFICIAL

33rpm『テキサス・ハリケーン』スティーヴィー・レイ・ヴォーン＆ダブル・トラブル
●ON AIR:2023年2月18日（土）21:00～21:55

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