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2023.3.21

落合直文×熊谷育美
120年の時空を超えたコラボ・ソング

「砂の上にわが恋人の名をかけば波のよせきてかげもとどめず」



1900年(明治33年)に宮城県気仙沼出身の歌人・国文学者の落合直文が、文芸誌『明星』(与謝野鉄幹主宰:新詩社刊)創刊号に寄せた短歌。短歌に初めて“恋人”という言葉を使ったこの歌。サザンオールスターズの「真夏の果実」や、パット・ブーンの「砂に書いたラブレター」にも通じる儚く切ないこの歌を、今から120年も前に詠んだ落合直文とはどんな人物なのか?

地元気仙沼で活動を続けるシンガー・ソングライターの熊谷育美は、この歌に出逢い、気仙沼市松崎片浜にある落合直文の生家「煙雲館」を訪ねました。


江戸末期の1861年、伊達家の重臣鮎貝家に生まれ、14歳の時に志波彦神社宮司で教育者の落合直亮の養子となった幼名・亀次郎。東京大学に学んだ後、1893年に初の短歌結社・浅香社を結成。与謝野鉄幹らと短歌の改革に取り組み、その門流からは与謝野晶子、高村光太郎、石川啄木らを輩出したことや、森鴎外らとも親交がある偉大な人物だったことを館主の鮎貝文子さんから教わりました。

また直文は、落合家の長女で許嫁の松野への想いを恋文にしたため、若くして病気で亡くした折には、結ばれることがなかった哀しみを歌に詠むというロマンチックな一面をもつ事も知ることが出来ました。ほかにも、新聞紙上で作品を酷評した正岡子規を恨むことなく、穏やかに見つめた心の優しい人物像に触れることが出来ました。


そんな落合直文が残した短歌や人柄に触れインスパイアされた熊谷育美は、120年前に詠まれた歌が今なお輝き続けることを想って、直文の短歌から得たイメージで楽曲の制作を始めます。明治から時代を超えて令和に繋がるバトン。

落合直文没後120年、東日本大震災から12年となる2023年。気仙沼から新たな命ともいえる歌が生まれるドキュメントを、55分の特別番組としてお送りします。ナレーションは、ラヂオ気仙沼ナビゲーター志田淳が担当。ぜひお聴きください。


Inspire-落合直文×熊谷育美-
presented by Hope for MIYAGI

●日時:2023年3月26日(日)20:00~20:55
●出演:熊谷育美、鮎貝文子(煙雲館当主)
●ナレーション:志田淳(ラヂオ気仙沼 ナビゲーター)