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2025.8.10

SUNDAY MORNING WAVE
カムチャツカ半島地震と津波について

2025年8月10日ON AIR「地震に自信を」


7月30日午前8時25分頃にカムチャツカ半島沖で発生した地震(M8.7)とそれによる津波は、日本を含む太平洋沿岸地域に大きな影響を与えました。揺れのないまま津波注意報が出され、その後警報に切り変わりました。被害状況としては、養殖筏などの流出がありました。地震の規模が大きく、津波の影響が長時間にわたって続きました。また、遠地津波であるため、地震発生から時間が経ってから最大波が到達する傾向もみられました。

カムチャツカ半島沖を震源とする津波は、発生から1時間程度で日本の太平洋沿岸に到達し、特に岩手県久慈港では130cmの津波を観測しました。大規模な津波遡上は見られませんが、局所的な増幅や強い流れにより漁業施設等への被害は懸念されます。

カムチャツカ半島、千島海溝沿いで発生した津波の既往の事例も踏まえ、津波の日本への伝播経路としては、到達順に以下が考えられます。

(1)カムチャツカ沖の津波の波源から直接、太平洋岸まで到達する経路
(2)津波波源から千島列島、北海道太平洋岸、本州太平洋岸に発達している大陸棚に入射し、屈折・反射を繰り返して到達するエッジ波
(3)カムチャツカ半島沖から北太平洋西側に発達する天皇海山群、およびハワイ海山群に津波が到達し、同心円状に発生する散乱波。

津波は、このような複雑な伝播経路を経て到達するために、海面変動の継続時間は非常に長くなるとともに、最大波が第一波から遅れて到達することが大きな特徴です。2006年の千島列島沖地震津波では、天皇海山群からの散乱波が、第一波観測後5時間以上経過してから、最大波として観測されました。


text by 今村文彦

SUNDAY MORNING WAVE

●日時:毎週日曜日8:25~8:55
●出演:今村文彦、板橋恵子