2025.1.12
SUNDAY MORNING WAVE
防災の国際標準化について
2025年1月12日ON AIR「地震に自信を」
2015年3月の国連防災世界会議で「仙台防災枠組2015-2030」が採択され、防災・減災を加速させる必要がある中で、産業界でも防災・減災を適切に進めるための信頼できる規格が必要とされています。この中で、経済産業省による「戦略的国際標準化加速事業」として、東北大学が中心となり、2019年から我が国における防災・減災の規格開発のための調査・研究が始まりました。第2回世界BOSAIフォーラムで、この議論が行われました。その後、2020年に国際規格の専門委員会で防災に関するワーキンググループ(WG6)を設置、2022年7月には災害の種類や防災に活用されるインフラの種類、活用分野、機能などを議論し、まとめた技術報告書が発行されました。
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2024/12/press20241219-01-bosai.html
そしてこのたび、「インフラ、スマートコミュニティ」の原則と基本要件をまとめた『防災概念の国際規格』ができあがり、2024年11月にISO 37179“防災に貢献するスマートコミュニティインフラストラクチャーの原則と一般的な要件”として発行されました。国内外で高まる災害リスクを事前に軽減すること、災害後に速やかに回復すること等を目指し、スマートコミュニティおよびそのインフラストラクチャーに備えておくべき基本的な「防災概念」の国際規格(ISO)が発行されたことになります。
規格には「ステークホルダーの参画」「科学的根拠」「ハード対策とソフト対策の組み合わせ」などの原則が盛り込まれており、コミュニティ開発・計画立案者、資金やサービスの提供者、インフラスなどの管理者などが利用することを意図しています。防災・減災における2030年までの達成目標を定めた国際アジェンダ「仙台防災枠組2015-2030」の考え方を踏まえて作成された規格です。今後、災害リスクを軽減し、コミュニティとそのインフラの回復力を強化することを目指し、開発・計画立案者、資金やサービスの提供者やインフラなどの管理者などに活用されることが期待されます。国内外の防災に関するインフラ製品・サービスの設計、実装の質向上が見込まれます。
text by 今村文彦
SUNDAY MORNING WAVE
●日時:毎週日曜日8:25~8:55●出演:今村文彦、板橋恵子