2023.3.18
職人集団スタッフの名盤を
アナログ・レコードで
33rpm SEASON II(2023年3月25日OA)No.161
スタッフ『モア・スタッフ』
アナログ音源専門プログラム「33rpm」。
今月の33rpmは「Piano Sings」と題して、ピアニストをフィーチャーしてお送りしています。25日にお送りするのは、リチャード・ティーがスタッフとして1977年にリリースしたアルバム『モア・スタッフ』です。
1970年代後半からブームとなったクロスオーヴァー、フュージョン・サウンド。
その代表ともいえるバンド、スタッフのメンバーとしてデビューしたピアニストがリチャード・ティー。本名リチャード・エドワード・テン・ライクは、1943年11月24日ニューヨークに生まれました。5歳から母ヘレンの手ほどきでピアノを習い始め、本格的にクラシック音楽の教育を受けます。しかし10代になるとポピュラー音楽に目覚め、親に内緒でクラブに出入りするようになりました。
1958年ニューヨーク音楽芸術高校に入学、卒業後はマンハッタン音楽学校に進学するも1年で中退。セッション・ミュージシャンとして働き始め、22歳でモータウンのピアニストに抜擢されます。レーベル・オーナー、ベリー・ゴーディーJr.夫人の推薦で、アレンジャーとしての地位を得るとマービン・ゲイはじめ、様々なアーティストを手掛けます。
1968年にはフリーランスとして活動開始。
ギタリストのコーネル・デュプリーと共にキング・カーティスのバンドに参加した後、アレサ・フランクリン、ロバータ・フラッグなどのレギュラー・ピアニストを努めました。1974年には、ベーシストのゴードン・エドワーズが結成したバンド、エンサイクロペディア・オブ・ソウルに参加、これがスタッフに発展します。スタッフは、76年のモントルー・ジャズ・フェスティヴァルに参加して反響を呼びました。
そしてこの年、ワーナー・ブラザースからアルバム『スタッフ!!』でデビュー。
メンバーは、ゴードン・エドワーズ、リチャード・ティーのほか、ギターにコーネル・デュプリーとエリック・ゲイル、ドラムはスティーヴ・ガッドとクリストファー・パーカーという豪華布陣。77年にはヴァン・マッコイと共同プロデュースで『モア・スタッフ』を、78年にスティーヴ・クロッパーのプロデュースで『スタッフ・イット』をリリースしました。
スタッフは、単にテクニックに長けているばかりではなく、歌心のある演奏が特徴で、リチャード・ティーはピアノ、エレピ、オルガンと様々な楽器をこなしました。78年には初のリーダー・アルバム『ストローキン』を発表。スタッフ・メンバーは様々なアーティストのレコーディングなどで多忙を極め、ライヴ・アルバムをリリースして80年に解散、リチャードはソロ・アルバムをリリースします。
その後はスティーヴ・ガッドのバンド、ザ・ガッド・ギャングにも参加。
サポート・ワークでは、80年バーブラ・ストライサンドの「ウーマン・イン・ラブ」が全米・全英とも1位を獲得。83年ビリー・ジョエルの「あの娘にアタック」で全米1位、他にもジョージ・ベンソン、リー・リトナーからデヴィッド・ボウイまでチャートへ送り込みました。
92年のヴァレンタイン・デイには、16年間付連れ添った恋人エレーナと結婚。二人はチェルシー・ホテル、そして自然豊かなコールド・スプリングへと移りますが、1993年7月21日、49歳の若さながら地元ニューヨークで人生のエンディングを迎えました。同じくスタッフのメンバー、エリック・ゲイルは94年、コーネル・デュプリーが2011年にそれぞれ旅立っていきました。
スタッフのアルバム『モア・スタッフ』
SIDE A
「ジス・ワンズ・フォー・ユー」
「アンド・ヒア・ユー・アー」
「サブウェイ」
「あこがれの君」
SIDE B
「ハニー・コーラル・ロック」
「ブラザーがのった時」
「アズ」
「ニード・サム・ボディ」
スタッフのアルバム『モア・スタッフ』いかがでしょうか?
ちなみに、リチャード・ティーはスティーヴ・ガッドと一緒に結婚式を挙げました。エレーナ・ティーとキャロル・ガッドのツーショット写真が今は閉じてしまったオフィシャル・サイトにアップされていました。
■ALL MUSIC Richard Tee
33rpm『モア・スタッフ』スタッフ
●ON AIR:2023年3月25日(土)21:00~21:55