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2023.3.10

3.11を短歌で語り継ぐ ~あの日の記憶~(その①)

2023年3月10日放送のAIR JAM Fridayでは、「3.11を短歌で語り継ぐ ~あの日の記憶~」と題して
リスナーの皆さんから、東日本大震災当時の、それぞれ思ったこと、経験したことなどを詠んだ、
短歌を募集し、ご紹介しました。

今回、短歌で募集したのは、5・7・5・7・7の31文字に、想いを込めて創作してもらうことで、
震災をもう一度思い返してもらいたいということ。
そして、震災メッセージを、少し違った形でご紹介することで、
風化させることなく、皆さんの胸に留めてもらいたい、そういう思いからでした。

それでは、この日番組に寄せられた短歌の中から、放送で詠みましたものを、順番に、
送られたリスナーの皆さんのメッセージと共に、3つにわけてご紹介しましょう。
(敬称略。名前はすべて、ラジオネームです。)

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・ネオ
「漆黒の 闇を切りさき 進む道 その先に待つ 家族目指して」
当時は青森市在住で、ビル8Fのオフィスは大きく揺れ停電になっただけで幸い被害はありませんでした。
午後7時過ぎに会社を出たら、信号も街灯も家の明かりも消えて街は暗闇に包まれていました。
真っ暗な帰り道を車で走ったあの風景が、12年経った今でも忘れられません。


・船乗りのおんつぁん
「あの時の サイレン鳴って 産気づき お前の子供は 元気に育つ」
病院にいた妻子は無事でしたが、病院へ駆けつけようとした友は、その日、亡くなりました…。
おーい!お前の子供は元気だぞー!
 
・東北の紅の豚
「避難所で 『小さな子へ』と 毛布渡され 布よりヒトの 温情に感謝す」
あの時毛布を借りて温まった娘もこの春卒業し社会人になります。
あの時のお世話になった沢山の借りはまだ全然返せてないなぁ

・ひげ2号
「忘れない 『おだがいさま』の思いやり 大事な教訓必ず生きる」
震災を経験して改めて大切なことや今後へどうすべきかを思い返しているところです。
大切だと感じてることを短歌にしました。

・ケーワイビート
「あの夜を 癒してくれた 甘いあん みやげに買った さいちのおはぎ」
あの日は仕事で会社の上司と二人で秋保温泉の旅館の下見に行って、
帰りがけ地元の有名なおはぎを買い店を出た直後に地震に襲われたんです。
なんとか会社に戻り、夜に帰宅。家族や山元町の実家もみんな避難して無事との連絡。
その晩は家族で懐中電灯と石油ストーブの灯りでラジオから流れる、
津波や原発の状況に恐れを抱きながら固まっていました。
炊事もままならず、そんな時に買ってきたおはぎを夕飯の替わりに食べ、
甘さに癒されようやく家族に笑顔が戻りました。
後からポケットに入っていたおはぎ屋さんのレシートを見ると、
2011年3月11日2時46分の印字に気がつき捨てずに保存していました。

・うめちゃん
「ホレこいづ 食(か)いねぐなって 投げるより あの時の豆腐 味が忘れられず」
冷蔵庫の食材やインスタント食品が底をつく前に家族の食べ物を確保しなければいけないと、
Twitterやクチコミを頼りに自転車で個人商店を駆け巡りました。
とある豆腐屋さん、停電で商品を腐らせてしまうより皆に分けたいと、
店先に豆腐や油揚げ、湯葉などを並べてました。
お金は要らないと言われましたが1000円を渡し持ち帰りました。
スーパーで3個100円に満たない豆腐に慣れ、改めて『豆腐屋』さんの味に驚きました。

・んだっちゃだれ
「おらいはね いちばんさいご だったのよ 東京ガス様に 感謝感謝」
震災後おらいのガス復旧はちょうど1ヶ月後の4月11日でした。
私が仕事中に東京ガスの担当者の方が一度来ていたらしく不在通知が入っていたのですが、
帰宅後に連絡を入れてみると『全ての現場終わったら最後にもう一度お宅に寄るから…』
と、心優しいお言葉。。
20:00頃でしたかね『遅くなってしまいすみませーん!』の一言と満面の笑みでインターホンがなり、
玄関を開けると東京ガスの担当者の方がキラキラして立っており本当に神様に見えましたよ。。
無事に復旧が終わり何か御礼がしたかったのですが散らかった部屋には何もなくて、
ストックしてあった缶コーヒーを10本程見つけて『みなさんで飲んでください!』と渡しました。
『有り難くいただくよ。これから大変だろうけど頑張って!』と言いながら
去って行った後ろ姿に私はずっと頭を下げていたんですけど、
今でもその光景は鮮明に覚えております。

・サンパチ オヤジ
「ランドセル はしゃぐ背中に 教えられ 亡き友思い 気持ち新たに」
震災から12年、時間だけが過ぎて、亡くなった愛しい人への思いは癒えません。
記憶に残さなければいけないもの、新しい時代を築いてくれる子供たちへの思い、
番組のテーマに沿って改めて考えました。

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その②に続きます。