2025.5.18
SUNDAY MORNING WAVE
ミャンマー地震によるタイ・バンコクでの被害
2025年5月18日ON AIR「地震に自信を」
https://irides.tohoku.ac.jp/research/prompt_investigation/2025myanmar-eq.html
3月28日午後3時20分頃(現地時間午後0時50分頃)にミャンマー中部で発生した地震により、震源から1000キロ以上離れたタイの首都バンコクでも長くゆっくりとした揺れの「長周期地震動」で被害が出ました。タイ政府の発表によれば、首都圏の被害は死者23名、負傷者36名。主に建設中のビル一棟の倒壊によるものであり、倒壊した建物の下敷きになった人々の捜索活動が続いていました。災害科学国際研究所では、4月25日、ミャンマー地震についての速報会を開催し、その中で、アナワット先生らが、バンコクでの被害状況と緊急調査について下記のような報告がありました。
①タイの人々は⾧周期地震動によるこれほどの大きな揺れを予想していなかったため、パニック状態になり、次に何をすべきか全く分からなかった。
②東京都心部と同様に深刻な交通渋滞とすべての鉄道システムの停止のため、都内中心部で働いていたすべての人が同時に家に帰るのに⾧時間がかかった。
③タイの人々は地震に対する正しい理解がなく、何をすべきか分からず、今後の基礎教育に組み込む必要がある。
④ 高層ビルに住み、働いている人の多くは大きな揺れを経験しただけでなく、建設中の30階建てビルの崩壊の画像やビデオによって、精神的な被害もかかっている。
最近の研究成果(千葉大学大学院の丸山喜久教授)により、現地の観測データをもとに専門家が分析したところ、最も影響が大きかったとみられる60階前後の超高層ビルでは、揺れ幅が1m60㎝程度と、東日本大震災の際、震源から400キロほど離れた東京 新宿で発生した超高層ビルでの揺れに近い状況だとしています。今回の地震計のデータを日本の「長周期地震動階級」に当てはめると、上から2番目の「階級3」に相当します。現地の状況について丸山教授は、高層ビルの柱や壁が損傷したといった被害の情報もあるとしたうえで、「制震構造」の導入が進んでいないことなどが影響しているのではないかと指摘しています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250428/k10014791611000.html
text by 今村文彦
SUNDAY MORNING WAVE
●日時:毎週日曜日8:25~8:55●出演:今村文彦、板橋恵子